「命を脅かされている」殺害された女性ジャーナリストは、ブログにそう書いていた

パナマ文書をもとにマルタ政府の疑惑を告発
死亡したダフネ・カルアナガリチアさん=2011年4月、マルタ首都バレッタ
死亡したダフネ・カルアナガリチアさん=2011年4月、マルタ首都バレッタ
Darrin Zammit Lupi / Reuters

ブログに「命脅かされている」 パナマ文書報道記者殺害

地中海の島国マルタで16日、タックスヘイブン(租税回避地)をめぐる「パナマ文書」をもとに政府の疑惑を告発した女性ジャーナリスト、ダフネ・カルアナガリチア氏(53)の車が爆破され、同氏は即死した。パナマ文書報道を主導した非営利の調査報道機関「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)とも関わりが深かった同氏の死に、世界中の記者が真相究明を求めて声を上げた。

マルタの公共放送TVMなどが伝えた。カルアナガリチア氏の車は自宅を出た直後に爆発。車は近くの畑まで吹き飛ばされた。当局は車に爆弾が仕掛けられていたとみている。

カルアナガリチア氏はパナマ文書をもとに、同国のムスカット首相の妻や閣僚らがパナマに会社を置いてアゼルバイジャン大統領の家族から大金を得ていたとの疑惑を報道。首相は疑惑を否定。野党の追及をかわすため、今年6月に前倒し総選挙に踏み切っていた。政治ニュースサイト「ポリティコ」は、カルアナガリチア氏を今年最も欧州に衝撃を与えた28人の1人にあげていた。

カルアナガリチア氏は、地元紙やブログで多くの政治家の腐敗疑惑を告発してきた。16日の事件直前も、政府要人の名を挙げて「詐欺師だ」などと指摘した。一方で、与野党の政治家から名誉毀損(きそん)訴訟を起こされていた。9月初めにはブログに「命を脅かされている」と記していた。

(朝日新聞デジタル 2017年10月17日 20時47分)
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(朝日新聞社提供)

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